07/07/2026
皇室典範改正に係る議論が行われること自体は、望ましいことである。
もっとも、女性天皇ないし女系天皇を容認する意見に対しては、反対論として、「日本の皇位継承は、初代神武天皇から今上天皇に至るまで、例外なく男系、すなわち父方の血統によって受け継がれてきた。したがって、日本は世界に類を見ない王朝であり、女性天皇・女系天皇を認めるべきではない」とする主張が目立つ。
しかし、「世界に類を見ない万世一系の男系継承による王朝である」という強い思想や自負は、特に幕末から近代にかけて、日本のアイデンティティの根幹を形成した一方で、国家の意思決定を歪め、結果として甚大な災厄をもたらす一因ともなった。その歴史的事実を、改めて思い起こす必要がある。
具体的には、第一に、天皇の神格化と国体論が、軍部の暴走を抑制できない政治構造を生み、最終的には亡国的な敗戦へと至ったこと。第二に、皇国史観が、独善的な他国認識、特に近隣諸国である中国・韓国に対する歪んだ認識を助長し、さらに排外主義的な外国人観や、「国益」の名の下に国民へ自己犠牲を強いる風潮を生み出したこと。第三に、歴史学をはじめとする学問の自由が弾圧され、自由な議論や批判的検討が封じられたことなどが挙げられる。
昨今の我が国や国民の姿を見ていると、これらの歴史的教訓を忘れてしまったのか、あるいは意図的に目を背けているのではないかと思わざるを得ない。
皇位継承の在り方を論じるのであれば、単に「伝統」や「万世一系」という言葉を絶対視するのではなく、その思想が近代日本においてどのように作用し、どのような結果をもたらしたのかを冷静に見つめ直す必要がある。