26/07/2026
【永住許可の審査がさらに厳格化へ?―現行基準と報道された変更案の比較】
2026年7月24日から26日にかけて、外国人の永住許可について、入管が審査基準を厳格化する方向で「永住許可に関するガイドライン」の改定案をまとめたと、複数の報道機関が報じました。
今回報道された内容は、日本に在留する外国人に対してとても大きな影響があるものと思います。それだけでなく、今後のモチベーションにも影響してくるでしょう。
個人的に「妥当」と思うものもあれば、これは「さすがに酷だな」と思うものもあります。
ただし、気を付けて欲しいのは現時点では、入管庁から改定後のガイドラインや具体的な審査基準が正式に公表されたわけではないということです。
以下は、あくまでも報道各社の報道内容を整理したものです。今後、内容や適用時期が変更される可能性があります。
しかし、みんなが今のうちにしっかりと考えるうえで重要な示唆があります。
■1.年収に関する基準
【現行】
現在のガイドラインには、「年収○○万円以上」という全国一律の金額基準はありません。
申請人や世帯の収入、扶養人数、雇用の安定性、資産などから、「公共の負担にならず、将来において安定した生活が見込まれるか」が総合的に判断されています。申請時点自立していればよいのではなく、複数年に渡る実績が必要です。
ただ、一般的には就労系在留資格からの申請においては申請人自身で年収300万円以上を得ていること、身分系在留資格からの申請人においては世帯年収が300万円以上であることが暗黙の数値でした。
もちろん扶養している家族の人数が多い場合は当然により多くの年収が現在も求められています。
【報道された変更案】
原則として、継続的に「日本人世帯の平均を上回る年収」があることを求める方向と報じられています。
ただし、次の点はまだ明らかになっていません。
・どの政府統計を使用するのか
・在留資格により異なると思うが、本人の年収か、世帯全体の年収か
・「収入」と「所得」のどちらを基準にするのか
・扶養家族の人数をどのように考慮するのか
・何年間の収入実績を確認するのか
したがって、現時点で「年収500万円が必要」「500万円未満は不許可」と断定することはできません。
■2.将来の年金受給額と預貯金
【現行】
現在も、年金保険料を期限内に納付しているかは重要な審査項目です。
しかし、将来受け取る予定の年金額について、「○○円以上必要」という明確な基準はありません。
【報道された変更案】
将来の年金受給見込額が、一定の年収で厚生年金に30年間加入した場合の水準に達しているかを確認すると報じられています。
ここで注意が必要なのは、
「厚生年金に実際に30年間加入していなければ永住申請できない」
という意味ではないと考えられることです。
30年という期間は、必要となる年金額を計算するための比較基準として示されているものです。
また、年金見込額が基準に届かない場合でも、預貯金(有価証券等)などの金融資産によって不足分を補うことを認める方向とされています。
ただし、必要な年金額、預貯金額、海外年金や企業年金を含められるかなど、具体的な計算方法は公表されていません。
■3.日本語能力
【現行】
現在の永住許可のガイドラインには、JLPTのN1、N2などの日本語試験への合格を一律に求める規定はありません。
【報道された変更案】
「自立した言語使用者」とされる日本語能力を、永住許可の審査で考慮する方向と報じられています。
ただし、
・CEFR B1とB2のどちらを求めるのか
・試験合格を必須とするのか
といった具体的な基準は明らかになっていません。
そのため、現時点で「N2が必須になる」と断定することはできません。
■4.日本の制度や生活上のルールの理解
【現行】
税金、年金、健康保険料、入管法上の届出などの公的義務を適正に履行しているかが審査されます。
特に、納付期限後に支払った場合は、申請時に完納していても消極的に評価される可能性があります。
というか既に現在の永住許可審査であっても、審査対象期間においてノーミスであることは必須です。
【報道された変更案】
これまでの公的義務の履行に加えて、日本の制度や生活上のルールをどの程度理解しているかについても、審査で考慮する方向とされています。
どのような方法で理解度を確認するのかは、まだ明らかになっていません。
■5.学齢期の子どもの就学
【現行】
現在のガイドラインには、子どもの就学状況を独立した許可要件として明記した規定はありません。
【報道された変更案】
一部報道では、学齢期の子どもを就学させていない場合、永住許可の審査において消極的に評価する案が示されているとされています。
ただし、本国の学校に実は通学しているという状況や外国人学校、インターナショナルスクール、オンライン教育などをどのように扱うのかは不明です。
■6.日本人・永住者等の配偶者に関する在留期間の特例
【現行】
日本人、永住者または特別永住者の配偶者については、次の両方を満たす場合、原則10年間の在留を待たずに永住申請ができる特例があります。
・実体を伴った婚姻生活が3年以上継続していること
・引き続き1年以上、日本に在留していること
【報道された変更案】
一部報道では、これを次の期間に延長する案が示されているとされています。
・婚姻生活:3年以上から5年以上へ
・日本での在留:1年以上から3年以上へ
■今後のタイムスケジュール
報道を総合すると、今後は次のようなスケジュールが想定されています。
【2026年10月1日】
永住許可に関するガイドラインを改定する案
【2027年4月以降】
新しい審査基準を、原則として2027年4月以降の申請に適用する案
【年収に関する基準】
一部報道では、年収に関する新しい基準について、2026年4月以降に申請された案件にも適用する可能性があるとされています。
■現時点での注意点
今回の報道だけを見て、次のように判断するのは早計です。
「厚生年金に30年間加入していなければ永住申請できない」
「年収500万円未満なら必ず不許可になる」
「JLPTのN2がなければ申請できない」
「子どもが学校に通っていなければ必ず不許可になる」
「2026年4月以降の申請は、すべて新基準で審査される」
これらはいずれも、現時点で正式に決定された内容ではありません。
ただし、今回の報道からは、今後の永住許可審査が、現在の収入や納税状況だけでなく、
・将来の年金受給見込み
・預貯金などの資産
・日本語能力
・日本の制度や生活上のルールへの理解
・家族の生活状況
まで含めて、長期的に日本で安定した生活を継続できるかを審査する方向に進む可能性があることが分かります。
少なくともこれまでと永住許可の重みは全く異なります。
日本で生活するたくさんの外国人を見てきましたが、この方法で変化が進めばかなり様変わりするだろうと思います。それが良いのか悪いのか、それは分かりません。
ただし、以上の厳格化、特に収入要件のみに限ってはなかなか酷な内容であると感じており、既に日本に在留している外国人に日本定着意識について相当モチベーションを削るものと思います。
今後も注視する必要があります。
※本投稿は、2026年7月24日から26日にかけての各報道機関の報道内容と、現在公表されている「永住許可に関するガイドライン」を比較して整理したものです。報道された変更案は正式に確定・公表されたものではなく、今後変更される可能性があります。