行政書士大石法務事務所

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家族信託(民事信託)で考える相続・財産管理 【第3回】家族信託と「財産管理委任契約」の違いどちらが自分に向いているのか、徹底比較 「財産管理委任契約」とはどんな制度か 終活の場面で家族信託と並んでよく登場するのが「財産管理委任契約(任意代理...
10/08/2026

家族信託(民事信託)で考える相続・財産管理 【第3回】家族信託と「財産管理委任契約」の違い

どちらが自分に向いているのか、徹底比較 「財産管理委任契約」とはどんな制度か 終活の場面で家族信託と並んでよく登場するのが「財産管理委任契約(任意代理契約)」です。これは、本人(委任者)が信頼できる人(受任者)に対して、自分の財産管理や生活上の手続きを代わりに行う権限を与える契約です。 たとえば、「足腰が弱くなってきたので、銀行への入出金や公共料金の支払いを子どもに任せたい」というケースで利用されます。比較的シンプルな手続きで始められることから、気軽に利用できる制度ともいえます。 財産管理委任契約の特徴 特徴 内容 法的根拠 民法上の委任契約(民法第643条以下) 設定方法 公正証書または私署証書で作成(公正証書が推奨) 効力発生 契約締結と同時に効力が発生(即日〜) 利用できる期間 本人が判断能力を有している間(生前) 対象となる行為 財産管理・法律行為の代理など、契約で定めた範囲 身上監護 契約内容に含めることが可能 家族信託と財産管理委任契約の比較 比較項目 家族信託 財産管理委任契約 法的根拠 信託法 民法(委任契約) 財産の名義 受託者名義に変わる 委任者名義のまま 認知症後の対応 継続して管理可能 本人の判断能力喪失後は無効になる恐れ 金融機関の対応 信託口口座で対応 金融機関が応じないことがある 不動産の管理・売却 受託者が独自に可能 委任者の同意・判断が必要な場合も 設定コスト 比較的高い 比較的安価 監督機能 信託監督人等を設置可能 監督機能が弱い 受益者保護 信託法による保護 契約による保護のみ 最大の違い:「認知症になった後」どうなるか 財産管理委任契約の最大の弱点は、「認知症になった後の継続性」です。 財産管理委任契約は民法上の委任契約ですが、民法653条により「委任者が死亡・後見開始・破産した場合には委任契約が終了する」と定められています。したがって、委任者が認知症によって後見開始審判を受けた場合、財産管理委任契約は終了してしまう可能性があります。 一方、家族信託は信託法に基づくため、委託者が認知症になっても信託は終了せず、受託者が継続して財産を管理することができます。この点が、家族信託の最も重要なメリットの一つです。 重要ポイント財産管理委任契約+任意後見契約をセットで利用することで、認知症前後の管理をつなぐことができます。ただし、後見が開始されると委任契約が終了する点には注意が必要です。 財産管理委任契約のメリット・デメリット メリット 設定コストが低く、比較的手軽に始められる 効力が即時に発生するため、今すぐ代理を頼みたい場合に有効 財産の名義変更が不要(不動産登記費用等がかからない) 内容を柔軟に設定できる デメリット 認知症(後見開始)後に効力が失われる可能性がある 金融機関が代理権を認めない(窓口対応を拒否する)ケースがある 受任者への監督機能が弱く、不正利用のリスクがある 「財産の移転」ができないため、本格的な財産管理には限界がある 家族信託のメリット・デメリット(財産管理委任契約との比較で) メリット 認知症後も継続して財産管理ができる 受託者が財産の名義人となるため、金融機関等での手続きがスムーズ 信託財産に対して強い法的保護がある(倒産隔離機能) 不動産の管理・売却を受託者が独自に行える デメリット 設定コスト(専門家報酬・登記費用等)が高い 信託口口座の開設に手間と時間がかかることがある 信託財産外の財産には効力が及ばない 家族間の合意形成が必要であり、設定に時間がかかることがある どちらを選ぶべきか 「今すぐ財産管理を誰かに任せたい」「費用をできるだけ抑えたい」という方には、まず財産管理委任契約が選択肢になります。ただし、認知症リスクへの備えとして長期的に考えるなら、家族信託(または任意後見契約との併用)が有力です。 「費用はかかっても確実に将来の財産管理を確保したい」「不動産を所有しており売却等も視野に入れたい」という方には、家族信託が適しています。 また、両者は選択肢が二項対立というわけではなく、状況によって組み合わせることも可能です。専門家と相談しながら、ご自身の状況に最適な方法を選ぶことが重要です。 まとめ 財産管理委任契約は手軽で即効性がある一方、認知症後の継続性に弱点があります。家族信託はコストがかかりますが、長期的な財産管理・認知症対策として優れた制度です。 次回(第4回)では、家族信託と「任意後見契約」の違いについて詳しく解説します。

どちらが自分に向いているのか、徹底比較「財産管理委任契約」とはどんな制度か終活の場面で家族信託と並んでよく登場するのが「財産管理委任契約(任意代理契約)」です。これは、本人(委任者)が信頼できる人(受...

家族信託(民事信託)で考える相続・財産管理 【第2回】 家族信託の設定方法と信託契約書の作り方家族信託を始めるには何が必要か 家族信託を設定するには、主に「信託契約書の作成」と「財産の移転手続き」が必要です。一見複雑に感じるかもしれませんが...
05/08/2026

家族信託(民事信託)で考える相続・財産管理 【第2回】 家族信託の設定方法と信託契約書の作り方

家族信託を始めるには何が必要か 家族信託を設定するには、主に「信託契約書の作成」と「財産の移転手続き」が必要です。一見複雑に感じるかもしれませんが、流れを把握すれば理解しやすくなります。今回は、家族信託を始めるまでのステップを順に解説します。 家族信託設定の基本ステップ 信託の目的・内容を家族で話し合う 専門家(行政書士・司法書士・弁護士・税理士等)に相談する 信託契約書を作成する(原則として公正証書で作成) 信託口口座(信託専用の銀行口座)を開設する 信託財産を受託者へ移転する(不動産の場合は登記変更) 信託の運用開始 それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。 ステップ1:家族で話し合いを行う 家族信託は、家族間の合意と信頼を前提とする制度です。まず、委託者(財産を持つ方)と受託者(管理を任される方)が十分に話し合い、「何のために」「誰に」「何を」「どのように」管理してもらうかを明確にすることが出発点です。 特に重要なのは「信託の目的」を明確にすることです。たとえば、「認知症になっても自宅を維持できるようにしたい」「賃貸不動産の管理を子どもに委ねたい」「相続税対策も兼ねて財産を承継させたい」など、目的によって信託の内容が異なります。 ステップ2:専門家への相談 家族信託は、民法・信託法・税法など複数の法律が関係する複雑な制度です。信託契約書の作成には専門知識が必要であり、不適切な設計では思わぬ法的・税務的リスクが生じることもあります。行政書士・司法書士・弁護士・税理士などの専門家に相談することを強くおすすめします。 各専門家の役割・行政書士:信託契約書の作成、コンサルティング・司法書士:不動産信託登記の手続き・弁護士:法的トラブル対応、複雑な契約設計・税理士:信託に関する税務申告・節税対策 ステップ3:信託契約書の作成 信託契約書は、家族信託の「設計図」ともいえる最重要書類です。記載すべき主な内容は以下のとおりです。 記載事項 内容・ポイント 信託の目的 何のために信託を設定するかを明記します。目的に反する行為は受託者ができません。 委託者・受託者・受益者 それぞれの氏名・住所・生年月日等を正確に記載します。 信託財産の特定 信託に組み入れる財産(不動産・預金等)を具体的に特定します。 受託者の権限 受託者がどの範囲で財産を管理・処分できるかを定めます。 信託の終了事由 信託が終了する条件(受益者の死亡等)を定めます。 残余財産の帰属先 信託終了後の財産を誰に帰属させるかを定めます。 信託契約書は、公証役場で公正証書として作成することが強く推奨されます。公正証書にすることで、①偽造・改ざんのリスクがなくなる、②法的効力が明確になる、③紛失しても原本が公証役場に保管される、といったメリットがあります。 ステップ4:信託口口座の開設 家族信託では、受託者が信託財産(現金・預金)を自分の個人財産と分けて管理するために、「信託口口座(しんたくぐちこうざ)」を開設する必要があります。信託口口座は、一般の口座と異なり「委託者〇〇受託者△△信託口」などという名義になります。 ただし、現在のところ信託口口座の開設に対応している金融機関は限られており、事前の確認が必要です。また、金融機関によって対応方針が異なりますので、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。 ステップ5:信託財産の移転 信託契約書を締結したら、実際に財産を信託財産として受託者に移転します。 現金・預金:信託口口座に入金します。 不動産:法務局で信託登記(所有権移転登記+信託登記)を行います。登記費用(登録免許税等)が発生します。 株式・有価証券:対応している証券会社で名義変更等の手続きを行います(制約がある場合があります)。 信託設定にかかる費用の目安 家族信託の設定には一定の費用がかかります。あくまで目安ですが、以下のような費用が発生することが多いです。 費用項目 金額の目安 専門家報酬(行政書士・司法書士等) 30万円〜100万円程度(信託財産の規模・内容による) 公正証書作成費用 数万円〜十数万円程度(財産額・枚数による) 信託登記費用(不動産) 登録免許税は固定資産税評価額の0.4%(土地は0.3%)等 信託口口座開設 金融機関によって異なる(無料〜数万円程度) 費用は決して安くありませんが、長期的な財産管理・相続トラブルの予防効果を考えると、十分に検討する価値があります。 まとめ 家族信託の設定は、①話し合い→②専門家相談→③契約書作成→④口座開設→⑤財産移転、というステップを踏んで進めます。特に信託契約書は家族信託の核心部分ですので、専門家のサポートを受けながら慎重に作成することが大切です。 次回(第3回)では、家族信託と「財産管理委任契約」の違いと比較について詳しく解説します。

家族信託を始めるには何が必要か家族信託を設定するには、主に「信託契約書の作成」と「財産の移転手続き」が必要です。一見複雑に感じるかもしれませんが、流れを把握すれば理解しやすくなります。今回は、家族信託...

成年後見制度改正を読む ―【連載第5回 補助人を変えやすくなる——交代要件の柔軟化と本人保護】現行制度の大きな問題点の一つが、後見人の交代の難しさでした。今回の改正では、この点についても重要な見直しが行われています。 現行法のもとでは、後見...
27/07/2026

成年後見制度改正を読む ―【連載第5回 補助人を変えやすくなる——交代要件の柔軟化と本人保護】

現行制度の大きな問題点の一つが、後見人の交代の難しさでした。今回の改正では、この点についても重要な見直しが行われています。 現行法のもとでは、後見人の解任は、財産の横領・流用など著しい不正行為や、報告義務違反といった重大な事由がある場合に限られていました。「後見人と相性が合わない」「連絡がなかなか取れない」「生活状況の変化に対応してもらえない」といった事情だけでは、家庭裁判所に解任を認めてもらうことは極めて困難でした。本人や家族が不満を抱えながらも交代できないという状況が、制度への不信感を生む一因となっていました。 改正後は、「本人の利益のために特に必要がある場合」という、より柔軟な交代要件が設けられます。不正行為がなくても、例えば補助人が本人の生活に関心を示さない、面談に来ない、本人の意思を無視した財産管理を続けているといった場合に、交代が認められやすくなります。 この変更は、利用者にとって大きな安心材料となります。一方で、専門職補助人を受任する立場から見れば、業務の質と説明責任がより厳しく問われる時代になるともいえます。補助人として就任する行政書士は、定期的な本人との面談記録を丁寧に残し、本人の意思を反映した支援の記録を継続的に積み上げることが、身を守る意味でも不可欠になります。 また、本人のニーズが変化した際に補助人を柔軟に変えられるようになることで、支援の継続性と質の維持が、選任後の重要な課題となります。行政書士が補助人に就く場合はもちろん、申立書類の作成を支援する場合においても、補助人候補者の適性と本人との相性を、これまで以上に慎重に見極める必要があるでしょう。 シリーズ「成年後見制度改正を読む」 記事一覧 第1回 「終わらない制度」から「終われる制度」へ——改正民法成立の意義第2回 現行制度の何が問題だったのか——三類型の硬直性と自己決定権の侵害第3回 三類型を「補助」に一本化——オーダーメード支援への転換 第4回 「途中でやめられる」制度へ——終身制の廃止と終了要件第5回 補助人を変えやすくなる——交代要件の柔軟化と本人保護(←今回の記事)

現行制度の大きな問題点の一つが、後見人の交代の難しさでした。今回の改正では、この点についても重要な見直しが行われています。現行法のもとでは、後見人の解任は、財産の横領・流用など著しい不正行為や、報告義...

【連載:終活シリーズ第10回(終)】:終活のパートナーとして行政書士ができること【要約】 全10回の連載の締めくくりとして、行政書士が終活においてどのような役割を果たすのかをまとめます。単なる書類作成代行にとどまらない、安心の「トータルコー...
25/07/2026

【連載:終活シリーズ第10回(終)】:終活のパートナーとして行政書士ができること

【要約】 全10回の連載の締めくくりとして、行政書士が終活においてどのような役割を果たすのかをまとめます。単なる書類作成代行にとどまらない、安心の「トータルコーディネート」と、最初の一歩の踏み出し方をお伝えします。 「街の法律家」は、あなたの伴走者です 終活は、法的な知識、福祉の知識、そして家族への配慮という、非常に複雑な要素が絡み合っています。行政書士は、これらを統合し、あなたに最適なプランを提案するコンサルタントのような存在です。「遺言書を作りたい」という具体的な依頼はもちろん、「何から始めればいいかわからない」という漠然とした不安に対しても、優先順位を整理し、道筋を立てるお手伝いをします。 ワンストップで解決するネットワーク力 行政書士の強みは、そのネットワークにあります。相続税が心配なら提携する税理士を、不動産処分が必要なら宅建士を、介護の悩みなら地域包括支援センターを。各分野の専門家と連携しながら、あなたが直面するあらゆる課題をワンストップで解決に導きます。あちこちの窓口へ相談に行く手間を省き、一貫性のあるサポートを提供できるのが、当事務所の強みです。 「安心」を手に入れた後の人生を 終活を終えたお客様が共通して口にされるのは、「肩の荷が下りて、毎日が楽しくなった」という言葉です。死を考えることは、決して暗いことではありません。むしろ、将来への備えを万全にすることで、今この瞬間を最大限に楽しむための知恵なのです。 当事務所は、あなたの人生の「これまで」を尊重し、「これから」を支えるパートナーとして、誠心誠意サポートさせていただきます。まずは、ゆっくりとお話を聞かせていただくことから始めましょう。あなたのご相談を、心よりお待ちしております。

【要約】全10回の連載の締めくくりとして、行政書士が終活においてどのような役割を果たすのかをまとめます。単なる書類作成代行にとどまらない、安心の「トータルコーディネート」と、最初の一歩の踏み出し方をお伝....

管理組合理事会のための2026年法改正対応ガイドブック 第7回 管理不全専有部分・財産管理制度への対応―ゴミ屋敷・放置住戸を管理組合は動けるか―「管理不全専有部分」問題の深刻化 高齢化や孤立化が進む現代のマンションでは、特定の住戸が著しく荒...
21/07/2026

管理組合理事会のための2026年法改正対応ガイドブック 第7回 管理不全専有部分・財産管理制度への対応―ゴミ屋敷・放置住戸を管理組合は動けるか―

「管理不全専有部分」問題の深刻化 高齢化や孤立化が進む現代のマンションでは、特定の住戸が著しく荒廃するケース(いわゆるゴミ屋敷化)や、区分所有者が施設入居・死亡等によって長期間不在となり、放置状態になった住戸の問題が増えています。こうした「管理不全専有部分」は、害虫の発生や悪臭の拡散など、周囲の住戸への直接的な被害をもたらすだけでなく、マンション全体の資産価値低下にも直結します。 しかし従来の法制度では、専有部分はあくまでも個人の所有物であり、たとえ管理不全であっても管理組合が直接介入することは非常に難しい状況でした。 新設された財産管理制度 今回の改正では、こうした状況に対応するため、「管理不全専有部分・管理不全共用部分に対する財産管理制度」が創設されました(標準管理規約67条の4・67条の5)。この制度のポイントは、管理が著しく不適当な専有部分や所在不明者が所有する共用部分について、利害関係者(管理組合を含む)が裁判所に申し立て、裁判所が管理人を選任して管理を命じることができるというものです。 具体的には、①ゴミ屋敷化した専有部分の清掃・害虫駆除、②長期放置住戸の保全管理、③相続人不存在・所有者不明の専有部分の管理、などの場面での活用が想定されています。 なりすまし問題への対応も もう一つ、今回の標準管理規約の改正で注目すべき点が「役員就任時の本人確認」に関するコメントの追加です。2025年には、首都圏のマンションで大規模修繕工事の施工会社の社員が住民になりすまして修繕委員会に参加し、自社に有利な形で会議を誘導しようとした事件が発覚しました。 この事案を受け、改正標準管理規約のコメントでは「管理組合役員・専門委員就任時の本人確認を推奨する」旨が明記されました。区分所有者であることの確認(登記事項証明書、売買契約書の写しなど)を徹底することが求められています。 【財産管理制度の適用が想定される場面】・特定の住戸がゴミ屋敷化し、周囲の住戸や共用部分への被害が生じている場合・区分所有者が施設入居・死亡等で長期不在となり、専有部分が放置されている場合・相続が発生したが相続人が不明で、専有部分の管理が滞っている場合・所在不明区分所有者が所有する専有部分が著しく荒廃している場合 理事会としての対応 まず、管理規約に財産管理制度の活用手続きに関する規定を盛り込むことを検討しましょう。標準管理規約67条の4・67条の5に沿った条文を整備しておくことで、いざという場面での迅速な対応が可能になります。 また、日常的なパトロールや管理員による巡回を通じて「要注意住戸」の早期把握に努めることも重要です。問題が深刻化してから動くのではなく、早い段階で記録を残しながら段階的に対応していく姿勢が、後の法的手続きを円滑にします。 【理事会の実務チェックポイント】・管理規約に財産管理制度の活用手続き規定を整備する・要注意住戸の早期把握のため、定期巡回・記録の仕組みを設ける・役員・専門委員の就任時に本人確認書類の提出を求めるルールを設ける・問題が発生した場合の弁護士・マンション管理士への相談ルートを事前に確保する  このシリーズはマンション管理士・行政書士としての立場から一般的な情報提供を目的としたものです。個々の管理組合の運営や個別事案への対応については、専門家への相談をおすすめします。 「管理組合理事会のための法改正対応ガイドブック」過去の記事はこちら↓ 第1回 「2つの老い」と法改正の背景 ―なぜ今、区分所有法が大きく変わったのか―第2回 総会の定足数・決議要件はどう変わったか―出席者ベースの多数決で意思決定が迅速化―第3回 所在不明区分所有者の除外制度―決議の「見えない壁」を取り除く新しい仕組み―第4回 共用部分変更決議の要件緩和―バリアフリー化・修繕が進めやすくなった―第5回 国内管理人制度の創設―海外在住オーナー増加時代の新たなルール―第6回 建替え・マンション再生の新ルール―老朽マンションに現実的な「出口」を―

「管理不全専有部分」問題の深刻化高齢化や孤立化が進む現代のマンションでは、特定の住戸が著しく荒廃するケース(いわゆるゴミ屋敷化)や、区分所有者が施設入居・死亡等によって長期間不在となり、放置状態になっ...

【連載:終活シリーズ第9回】:お葬式とお墓の「新しい選択肢」と死後事務委任【要約】 家族の形が多様化する中で、葬儀やお墓のあり方も大きく変化しています。「墓じまい」の現状や、死後の諸手続きを第三者に託す「死後事務委任契約」のメリットについて...
17/07/2026

【連載:終活シリーズ第9回】:お葬式とお墓の「新しい選択肢」と死後事務委任

【要約】 家族の形が多様化する中で、葬儀やお墓のあり方も大きく変化しています。「墓じまい」の現状や、死後の諸手続きを第三者に託す「死後事務委任契約」のメリットについて、専門的な視点から詳しく解説します。 多様化する供養の形 かつては「先祖代々のお墓に入る」のが当たり前でしたが、今は「子供に管理の負担をかけたくない」「自然に還りたい」という理由から、樹木葬、散骨、永代供養墓を選ぶ方が増えています。また、葬儀も身内だけの「家族葬」や、儀式を省略する「直葬」が一般的になりつつあります。大切なのは、世間体ではなく「自分がどう見送られたいか」を明確にし、それを家族や関係者に伝えておくことです。 「墓じまい」の現実的な進め方 「お墓を継ぐ人がいない」「田舎にあるお墓までお参りに行けない」といった悩みから「墓じまい」を検討される方が増えています。これには、墓石の撤去だけでなく、自治体への「改葬許可」申請や、寺院との離檀交渉など、複雑な行政手続きとデリケートなコミュニケーションが必要です。行政書士は、これらの書類作成や手続きの代行を行い、円滑な墓じまいをサポートします。 死後事務委任契約—「おひとりさま」の安心のために 亡くなった直後には、役所への届出、病院の清算、家賃の支払い、家財道具の処分、公共料金の解約など、数百項目に及ぶ事務作業が発生します。身寄りがない方や、親族と疎遠な方の場合、これらの手続きをあらかじめ行政書士などの第三者に委任しておくのが「死後事務委任契約」です。生前にこの契約を公正証書で結んでおくことで、死後の「誰がこれをやるのか?」という不安を完全に解消することができます。

【要約】家族の形が多様化する中で、葬儀やお墓のあり方も大きく変化しています。「墓じまい」の現状や、死後の諸手続きを第三者に託す「死後事務委任契約」のメリットについて、専門的な視点から詳しく解説します。...

行政書士が解説 – 家族信託(民事信託)で考える相続・財産管理 【第1回】家族信託(民事信託)とは何か?家族信託(民事信託)とは何か? 終活の新しい選択肢をわかりやすく解説 はじめに――「家族信託」という言葉を聞いたことはありますか? 近年...
16/07/2026

行政書士が解説 – 家族信託(民事信託)で考える相続・財産管理 【第1回】家族信託(民事信託)とは何か?

家族信託(民事信託)とは何か? 終活の新しい選択肢をわかりやすく解説 はじめに――「家族信託」という言葉を聞いたことはありますか? 近年、終活を考える方々の間で「家族信託(民事信託)」という言葉が注目を集めています。テレビや雑誌でも取り上げられることが増え、「なんとなく聞いたことはあるけれど、よくわからない」という方も多いのではないでしょうか。このブログシリーズでは、行政書士の視点から、家族信託の基本から実践的な活用方法まで、全10回にわたって丁寧に解説していきます。 今回の第1回では、「家族信託とはそもそも何か」「なぜ今注目されているのか」について、基礎からわかりやすくご説明します。 「信託」とはどういう仕組みか 家族信託を理解するには、まず「信託」という制度の仕組みを知ることが大切です。信託とは、ひと言でいえば「財産の管理・運用・処分を、信頼できる人に委ねる仕組み」です。 信託には、次の三者が登場します。 登場人物 役割と説明 委託者(いたくしゃ) 財産を持っている人。信託を設定する人。たとえば、財産を持つ父親や母親が該当します。 受託者(じゅたくしゃ) 財産の管理・運用・処分を任される人。家族信託では、信頼できる家族(子どもなど)がなります。 受益者(じゅえきしゃ) 信託による利益(家賃収入・生活費など)を受け取る人。多くの場合、委託者本人が受益者を兼ねます。 たとえば、「父親(委託者)が、自分の不動産や預金を息子(受託者)に信託し、その収益は自分(受益者)の生活費に充てる」という形が典型的な家族信託のイメージです。 「家族信託(民事信託)」と「商事信託」の違い 信託には大きく分けて「商事信託」と「民事信託(家族信託)」の2種類があります。商事信託は、信託銀行や信託会社などの専門業者が受託者となる信託です。一方、民事信託(家族信託)は、信頼できる家族を受託者とする信託であり、営利を目的としないものを指します。 「家族信託」という言葉は法律上の正式用語ではなく、民事信託のうち特に家族間で行われるものを指す通称として広く使われるようになりました。本シリーズでも「家族信託」として統一してお話しします。 なぜ今、家族信託が注目されているのか 日本は世界でも類を見ない超高齢社会を迎えています。内閣府の調査によれば、2025年には国民の約3人に1人が65歳以上となる見通しです。こうした中で、以下のような社会的背景が家族信託への関心を高めています。 認知症リスクの高まり:65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症を発症するといわれており、財産管理が困難になるリスクが現実のものとなっています。 凍結口座の問題:認知症になると、銀行口座が事実上「凍結」されたような状態になり、家族が財産を動かせなくなるケースが相次いでいます。 相続争いの予防ニーズ:遺産をめぐる家族間のトラブルが増加しており、生前から対策をとりたいという方が増えています。 柔軟な財産管理の必要性:単純な遺言書では実現できない、複雑な財産承継のニーズが高まっています。 こうしたニーズに対応できる制度として、家族信託が「遺言書では補えない部分を補う新しい終活ツール」として注目されているのです。 家族信託でできること・できないこと 家族信託の活用場面として、主に以下のことが可能です。 認知症になった後も、受託者(子ども等)が財産を継続して管理・運用できる 不動産の売却・リフォームなどを委託者に代わって行える 受益者が亡くなった後の財産の行方を、信託契約であらかじめ指定できる(受益者連続信託) 特定の目的(介護費用・教育費用等)のために財産を管理できる 一方で、家族信託にはできないことや注意点もあります。 身上監護(介護サービスの手配・医療同意など)は家族信託だけでは対応できない 信託財産に含まれていない財産(信託外財産)については効力が及ばない 年金受給権など、一身専属的な権利は信託できない まとめ 家族信託は、「大切な財産を、信頼できる家族に委ねて管理してもらう仕組み」です。認知症対策・相続対策・財産管理の柔軟化といった面で、現代の終活に欠かせないツールとなりつつあります。 次回(第2回)では、家族信託の基本的な設定方法と、信託契約書の作成について詳しくご説明します。なお、このブログシリーズは行政書士としての立場から情報提供を目的としたものです。個別の契約設計については、専門家への相談をおすすめします。 ワンポイントアドバイス家族信託は「万能薬」ではありません。後見制度・遺言書など他の終活ツールと組み合わせることで、最大の効果を発揮します。シリーズを通じて、各制度との比較もしっかり解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。 シリーズ目次(予定) 第1回 家族信託(民事信託)とは何か? (←今回の記事)第2回 家族信託の設定方法と信託契約書の作り方第3回 家族信託と「財産管理委任契約」の違い第4回 家族信託と「任意後見契約」の違い第5回 家族信託と「法定後見制度」の違い第6回 家族信託と「遺言書」の違い第7回 家族信託と「死後事務委任契約」の違い第8回 家族信託の税務的な注意点第9回 家族信託のよくある失敗事例と注意点第10回 終活ツール全体の比較と「自分に合った終活」の選び方

家族信託(民事信託)とは何か?終活の新しい選択肢をわかりやすく解説はじめに――「家族信託」という言葉を聞いたことはありますか?近年、終活を考える方々の間で「家族信託(民事信託)」という言葉が注目を集め...

管理組合理事会のための2026年法改正対応ガイドブック 第6回 建替え・マンション再生の新ルール ―老朽マンションに現実的な「出口」を―建替えが進まない現状 老朽化が進んでいるにもかかわらず、建替えが実現したマンションは全国で累計わずか28...
14/07/2026

管理組合理事会のための2026年法改正対応ガイドブック 第6回 建替え・マンション再生の新ルール ―老朽マンションに現実的な「出口」を―

建替えが進まない現状 老朽化が進んでいるにもかかわらず、建替えが実現したマンションは全国で累計わずか282件程度(国土交通省調べ)に過ぎません。その最大の壁が「各5分の4以上」という建替え決議の高い多数決要件でした。耐震性に問題があっても、1割強の区分所有者が反対または無関心であれば、建替え計画は頓挫してしまいます。 建替え要件の緩和 今回の改正では、建替え決議の多数決要件について、一定の客観的事由がある場合に限り、「5分の4以上」から「4分の3以上」に緩和されました。緩和が認められる5つの客観的事由は以下の通りです。 【建替え決議要件が緩和される5つの事由】①耐震性の不足(耐震基準への不適合)②火災に対する安全性の不足③外壁等の剥離により周辺に危害を生ずるおそれ④給排水管等の腐食等による著しい衛生上の危害のおそれ⑤バリアフリー基準への不適合 これらのいずれかに該当することが認められれば、出席者・出席者議決権の各4分の3以上の賛成で建替えが可決できます。耐震診断の結果が基準を下回っているマンションなど、緩和要件に該当するかどうかを専門家に確認してみる価値があります。 新たなマンション再生手法の導入 今回の改正では、従来の「建替え」に加え、新たなマンション再生手法として「建物更新(一棟リノベーション)」「建物取壊し」「敷地売却」「建物取壊し敷地売却」が法定されました。 特に「建物更新」は、建物の構造上主要な部分の効用を維持・回復するために共用部分の形状を変更し、それに伴い全専有部分の形状・面積・位置関係を変更する、いわゆる「一棟リノベーション」を指します。これにより、建替えほど大規模ではなくとも、建物を根本から刷新するという選択肢が加わりました。「建替えかそのまま放置か」という二択から、より柔軟な選択が可能になります。 団地型マンションの建替えも円滑化 複数棟からなる団地型マンションの建替えについても、今回の改正で手続きが合理化されました。改正後は、議決権の過半数を有する団地建物所有者が出席し、出席者の議決権の4分の3以上の多数決で建替え決議が可能となりました。 また、建替え決議が成立した場合、賃借人に対して6カ月の猶予期間を設けたうえで契約終了を求めることができるようになりました。これまでは賃借人保護の観点から多額の立退料や長期交渉が必要でしたが、一定の手続きを経ることで法的な強制力を持って対応できるようになりました。 【理事会の実務チェックポイント】・耐震診断の実施状況を確認し、未実施の場合は早急に計画する・5つの緩和事由のいずれかに該当するか専門家(建築士・弁護士)に確認する・「建替え」以外の再生手法(建物更新・敷地売却等)についても情報収集する・過去に建替え計画が断念されたマンションは改めて可能性を検討する  このシリーズはマンション管理士・行政書士としての立場から一般的な情報提供を目的としたものです。個々の管理組合の運営や個別事案への対応については、専門家への相談をおすすめします。 「管理組合理事会のための法改正対応ガイドブック」過去の記事はこちら↓第1回 「2つの老い」と法改正の背景 ―なぜ今、区分所有法が大きく変わったのか―第2回 総会の定足数・決議要件はどう変わったか―出席者ベースの多数決で意思決定が迅速化―第3回 所在不明区分所有者の除外制度―決議の「見えない壁」を取り除く新しい仕組み―第4回 共用部分変更決議の要件緩和―バリアフリー化・修繕が進めやすくなった―第5回 国内管理人制度の創設―海外在住オーナー増加時代の新たなルール―

建替えが進まない現状老朽化が進んでいるにもかかわらず、建替えが実現したマンションは全国で累計わずか282件程度(国土交通省調べ)に過ぎません。その最大の壁が「各5分の4以上」という建替え決議の高い多数決要件....

【連載:終活シリーズ第8回】:医療・介護の意思表示—最期まで自分らしくあるために【要約】 意識を失った際、どのような治療を受けたいか、あるいは受けたくないかを記す「リビング・ウィル(尊厳死宣言)」。本人の尊厳を守り、家族に「辛い決断」をさせ...
10/07/2026

【連載:終活シリーズ第8回】:医療・介護の意思表示—最期まで自分らしくあるために

【要約】 意識を失った際、どのような治療を受けたいか、あるいは受けたくないかを記す「リビング・ウィル(尊厳死宣言)」。本人の尊厳を守り、家族に「辛い決断」をさせないための準備と、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の考え方を深掘りします。 「延命治療」の有無を自分で決める 不治の病で回復の見込みがないとき、人工呼吸器の装着や胃ろうによる栄養補給を望むかどうか。これは非常にデリケートな問題です。もし本人の意思が不明だと、医師は法的・倫理的リスクから、可能な限りの延命措置を行わざるを得ない場合があります。また、家族は「生かしてあげたい」という願いと「苦しませたくない」という思いの間で激しく葛藤します。あらかじめ意思を表示しておくことは、自分だけでなく、家族を守ることでもあるのです。 「尊厳死宣言公正証書」の活用 自分の意思に法的、あるいは客観的な証明力を持たせる方法として、公証役場で「尊厳死宣言公正証書」を作成する方法があります。これには「過剰な延命治療を拒否する」「痛みを和らげる緩和ケアを希望する」といった内容を盛り込みます。100%の強制力があるわけではありませんが、医療現場では本人の意思を尊重する有力な判断材料となり、家族も納得して医療チームと対話できるようになります。 ACP(人生会議)というプロセス 意思表示は一度書いたら終わりではありません。健康状態や心境の変化に合わせて、何度でも見直してよいものです。このように、将来の医療やケアについて繰り返し家族や医師と話し合うプロセスをACP(人生会議)と呼びます。行政書士は、その対話の結果を、法的に不備のない形(公正証書や付言事項など)で残すサポートをします。最期まで自分自身の尊厳を保つために、勇気を持って一歩踏み出してみませんか。 参考 厚生労働省:『「人生会議」してみませんか』  日本公証人連合会:『「尊厳死宣言公正証書」について、説明してください』  シリーズ目次 第1回 なぜ今「終活」が必要なのか?—人生の質を高めるためのポジティブな選択 第2回 遺言書の役割と種類—想いを確実に実現するための法的効力 第3回 認知症への備え「任意後見制度」—未来の自分を守るパートナー選び 第4回 新しい財産管理の形「民事信託(家族信託)」の活用 第5回 一番大事なのは「家族間の意識合わせと信頼醸成」 第6回 地域連携の重要性—包括支援センターや専門家とのネットワーク 第7回 モノと情報の整理「生前整理」と「デジタル終活」の進め方 第8回 医療・介護の意思表示—最期まで自分らしくあるために(←この記事)

【要約】意識を失った際、どのような治療を受けたいか、あるいは受けたくないかを記す「リビング・ウィル(尊厳死宣言)」。本人の尊厳を守り、家族に「辛い決断」をさせないための準備と、ACP(アドバンス・ケア・プ...

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電話番号

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