もりもと特許事務所

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 父は会社員でした。そんな環境に育ったせいか、開業当初は、先輩経営者の気持ちをくみきれず、時として戸惑うこともありました。自ら事業主として13年のキャリアを積んだ今、経営者たちの思いを常に肌で感じながら、日々の業務にあたっています。そして、お客さまの未来−夢の実現−と真正面から向き合っていける、そんな毎日が楽しくてしかたありません。

 新規事業、新商品、店舗開発、ブランド企画、FC展開、…etc,さまざまなビジネスシーンで、知的財産にまつわる不安や疑問に襲われるときがあります。そのままにしないで、気軽な質問でそれらを解消してください。安全に夢を実現するために必要なステップですから。気がかりを抱えたままビジネスを進めるのは、霧の中を歩くようなもの。いつ何にぶつかるかもしれません。スッキリと霧を晴らしてから歩きだしましょう!


ベンリィもりもと
気さくで“ベンリ”な知財策士
森本なおゆき(弁理士)

22/04/2019

――自分で特許出願をしたいと思っています。難しいものでしょうか?
 
 
――特許実務の経験がない人には難しいと思います。仮に審査を通ることがあったとしても、権利が狭くなるようなことが多く、良くないと思います。
 
▽特許出願は、『明細書』と『特許請求の範囲』という書類を必ず提出します。これを書くのが見た目以上に難しく、初心者ではなかなか十分なものになりません。それぞれについて説明します。
 
 
▼『明細書』について
 『明細書』には、特許発明の技術内容を詳しく書きます。
 
▽原則として、技術を文章で説明します(必要に応じて『図面』をつかいます)。つまり、非言語なものである「技術」を言語化します。誰でも子供のころから使っている日本語です。でも、これを書くには、けっこうな特殊技能が必要です。
 
 たとえば、自転車のブレーキを考えてみましょう。「ハンドルについたレバーを引けば、それがワイヤーで伝わってゴムがリムを挟む」という程度では、明細書に必要なレベルで言語化したことになりません。レバーの構造はどうなっているか、レバーをどの方向にどの程度引くか、ワイヤーはどのように力を伝えるのか、そのときワイヤーを通すチューブと中のワイヤーはどのような力学的な関係なのか、ブレーキ本体の構造はどうなっているか、ワイヤーで伝わった力はブレーキ本体をどのような仕組みで動かすのか、その結果ゴムがどうリムに作用するか…など、すべて逐一ことばで説明しなければなりません。
 
 プロが書いたものは、あたりまえのことがあたりまえに書いてあって、するする読めてしまうかもしれません。でも、慣れない方が書こうとすると、十分に言葉にならないでしょう。小説がすらすら読めたとしても、書けませんよね? 同じことだと思います。
 
▽また、自分にとってあたりまえのことであるほど、ことばでは説明できません。
 
 たとえば、助詞の「は」と「が」は、日本語ネイティブならあたりまえに使い分け、間違えることはありません。これを、どんな基準で使い分けていますか? どういうときに「は」で、どういうときを「が」にしますか? 明確なことばで説明できるでしょうか?
 
 技術も同様です。その分野のエキスパートになればなるほど、その技術についてあたりまえのことが増えます。膨大な非言語情報が、ごく当然のこととして意識されなくなってしまいます。それを逐一ことばにするのが困難になるのです。
 
 
▼『特許請求の範囲』について
 『特許請求の範囲』では、特許発明の権利範囲を明らかにします。
 
▽技術の権利取得したい部分を、日本語で文章化します。あくまで言葉がベースです。図面はつかえません。これをどう書くかで、権利が狭くなったり、不明確になったりします。
 
 たとえば、写真加工システムで、特許請求の範囲に『加工した画像をプリントすることを特徴とする』と書くと、「プリントせずに画面に表示するだけのタブレット」は、原則として権利に入りません。抵触しないということです。「画像をプリント」しないからです。
 
 解りやすい例なので、自分はそんな書き方はしない、と思われるかもしれません。でも、このようなことはよく起こります。扱うのが言語なので100%の正解もありません。プロでも非常に気を遣うところです。
 
▽特許請求の範囲では、技術を抽象的にとらえ、汎用性のある言葉をナチュラルにつかって書く必要があります。
 
 技術者は、開発した技術の具体的な状態をそのまま言葉にする傾向があります。これは、権利範囲をいたずらに狭くしてしまいます。また、自社で使われる言葉をそのまま使ってしまうことがあります。一般に通じない、不明確な表現になってしまうでしょう。

14/07/2014

 ――記述的商標は、識別力がないとして拒絶されます。

 業界表現だと、句読点をいれても23文字で終わる。でも一般のひとには、まぁ何のことだか、ワケわかんないですよね。
 お客さんには普段、↓こんな風に↓、説明しています。

 ――商標登録しようとしたとき、そのコトバが持つ意味によっては、審査をハネられることがあります。
 つまり、商標というのは営業の表示です。権利化したいコトバと、表示の対象にする業務とがセットで登録されます。このとき、業務の中身をそのまま表すコトバは、あくまで『業務内容の表示』であって『ブランド』ではない、と判断されるのです。
 たとえば、「ジュース」の商品名を「マンゴー&レモン」にするとしましょう。この「マンゴー&レモン」が、「ジュース」の『原材料表示』だと取られます。こんな表示を一企業に独占させると業界に混乱がおこる、という考えかたです。

 このくらい書いてようやく、一般のひとに伝わるレベルかなと思う。260字を超えている。10倍以上だ。
 専門用語をやめて普段づかいの言葉を駆使する。これでもかこれでもかと、丁寧に噛んで含める。
 伝わらない言葉をいくら発したところで、相手には届かず霧散してしまう。結局なにも言ってないのと同じだ。だからこういうことを、面倒がっちゃあイカンのです。

05/02/2014

――人によってテクニカルタームの書き方が違うことが疑問です。調査をされるときにヒットしないような記述方法はやめて欲しいです。
――はあ…。いろいろ事情はあると思うのですが{^^;

 例えばですが、僕がブログなどで文章を書くときに、「テクニカルターム」という言葉は使いません。たいていの場合は「専門用語」というでしょうし、情況に応じて「医学用語」「技術用語」のような表現を採ることもあると思います。こんなことじゃないのかなと、思うのです。

 特許の文章で言葉を選ぶとき、僕なりに気をつけているポイントがいくつかあります。主には、①審査、②裁判、③経年変化、④翻訳です。

①審査
 意外に思われるかもしれませんが、言葉というのは、それほどカッチリした存在ではありません。色んな意味を取り込んだり吐き出したりしながら、ぶよぶよ浮かぶアメーバーのようなものです。ある集団において特有の意味で用いられる言葉もよくあります。業界用語や現場用語などがその典型です。
 要するに言葉は、使う人の立場によっていろんな偏向がかかる可能性を含んでいるということです。
 特許の審査では、このような偏向を排除して、書かれたとおりに言葉が解釈されます。だから書くときも、そのような偏向のないニュートラルな状態で、言葉を使うように心がけます。

②裁判
 特許というのは、技術を言葉で表して、その言葉によって権利を構築します。権利侵害があったとき裁判所では、その侵害品が、言葉で構築した権利に触れるかどうかを判断します。このとき、権利の構築に使った言葉を解釈するために、よく辞書が参照されます。
 だから書くときも、辞書の語釈に忠実に、言葉を使うよう心がけます。当たり前といえば当たり前の話なのですが、案外ふだんの言語生活では、辞書からズレた意味で言葉を使ってることも多いものです。
 辞書にもいろいろあるところ、裁判所ではなぜだか岩波書店の広辞苑がよく使われるようです。ですから、僕らの実務もそれに合わせます。

③経年変化
 特許権の対象になる技術は日進月歩です。日々進化し、動いています。30年も前の技術はさすがに古くなってきます。なかには10年もたたずに市場から消える技術もあるでしょう。特許ではそういった流れの一瞬を捕まえて権利にします。
 その権利を構築するときに使うのが言葉です。
 言葉それ自体も、思っている以上に流動的で日々変化しています。時代によって色んな言葉が現れ、同じ言葉でもそれまでなかった意味で使われ始め、消えていく言葉も少なくありません。例えば100年前の日本語なんて、僕らには読めたものではありません。
 特許では、一瞬の技術を、言葉で構築した権利でもって、20年のあいだ守らなければなりません。そこに使った言葉は、それだけの時間に耐えるものでなければならないのです。
 書くときに20年先を完全に予測することはできません。ですが、できるだけ経年変化の少ない安定した言葉を使うよう心がけます。

④翻訳
 特許を外国に出すときは必ず翻訳が必要です。このときに翻訳しにくそうな言葉は、使わないように気をつけます。例えば形状を表すときに、「T字状」のようにアルファベットは使いますが、「ハの字形」のようなカタカナは止めておきます。
 言葉というのは、土地のうえに文明が積み重なってできてきたものです。言語が違うということは、そのベースになる歴史も文化も、自然も生活も人も、何もかもが違うわけです。ですから一対一で対応するわけはないのです。翻訳を前提にして日本語を考えるのは、たいそう難しいですね。

 特許調査で引っかからないように言葉を選ぶことは、僕の場合はまずありません。検索でヒットしにくいということは、使っている言葉が一般的ではないということです。つまり、今までに述べたことの逆を行くことになるからです。そのようなオーダーがあれば別ですが、そういった依頼を受けたことは、今までのところありません。
 逆に、特許調査で検索するときに、①審査②裁判③経年変化④翻訳の面において、どんな言葉選びがされるのか、想像しながらキーワードを探します。もちろん、現場用語の検索でズバリを拾うこともあるので、無視はしませんが。

 え? 答えになってません? まぁ…、いろいろ事情はあると思うのです{^^;

08/01/2014

 ――弁理士さんの書く特許の文章、なんでこない読みにくいんですかねぇ。
 ――すいません、よく言われます{^^;。

 僕たちが書く特許の文章は、悪文の代表格といわれます。同じ用語を繰り返し何度も出すとか、主語を省かないで一々書くとか。自然な日本語からは程遠く、一般にはとても読みにくいものです。
 普通に書いた日本語は、特許の悪文に比べると、ある意味スカスカです。意識もせずに分かり合ってることを、わざわざ書かないからです。
 古代から日本は島国でやってきて、社会の同質性が高いといわれます。つまり書き手と読み手の間に相互信頼があって、表立って言葉にしないで文脈に依存させてしまう傾向が強いのです。主語なんて書かないのが普通です。結果、あちこちに隙間ができて広がって、スカスカになるのです。
 ところが特許では、書き手が読み手を信頼しちゃいけません。いろんな輩が、自分の立場と都合で好きに解釈しようとします。もちろんなかには外国企業もありますし、それが敵だったりもします。そうなって困らないように、隙間のないギッチリした悪文を、書いておくのです。

 ――この記事でも、「結果、あちこちに隙間ができて広がって、スカスカになるのだ」の主格は、そのだいぶ前にある「普通に書いた日本語は」なんです。『助詞“は”のピリオド越え』なんて言います。この場合、段落まで越えちゃってますけどね。ごく普通に書くと、このぐらいスカスカになるってことです。

24/11/2011

◆名前をガードすること

 「商標登録って、どんな意味があるの?」
 そんな疑問をお持ちの経営者さんも多いようです。

 商標登録をすることで、商品やサービスの『名前』を守ることができます。他人が勝手に使うのを止められるのですが、それよりもむしろ、自分が使う状態を確保できるという意味の方が大きいでしょう。

 名前が使えなくなるリスクって、意外に大きいものです。
 例えば、ラーメン屋さん。お店の名前は、開店して1週間も営業すればもう変えられませんよね。
 新商品にしても、パンフレットやパッケージが刷り上ってから、他人の登録があったなんていうのが一番困ります。ネーミングもデザインも印刷もやり直しです。

 それでもまだ発売前ならいいのですが、売れ行きが良くなってきてから、実は他人の権利に抵触していたということもあります。名前を変えたくなければ、権利を購入するかライセンスしてもらうかしてお金で解決するしかありません。これも相手のある話ですから、イヤと言われてしまえば名前を変える以外に道はないのです。

 名前を変えるとなると、広告戦略の見直しや、お客さまへの説明も必要になります。商品や企業に不信感を持たれてしまうこともあるでしょう。それを避けようと思えば、新ブランドを白紙から立ち上げることになります。

 このように、『名前』には思っている以上のリスクやコストが潜んでいるのです。

 「たかが名前」という言い方もできますが、売れ行きに直接影響するものです。

 企画段階の早いうちから権利調査をしておいて、最低でも侵害にならないことは確認しておきましょう。できれば登録も済ませておいてください。今は問題にならなくても、登録が先を越されると、事後的にトラブルに繋がることもありますから。

 「されど名前」――無視できませんね。

21/11/2011

◆ビジネスの仕組みを権利に?

 「このビジネスの仕組みを権利化できないか」
 そういったご相談をよく受けます。

 一般論を言えば、ビジネスの仕組み(すなわち収益モデル)そのものをストレートに守る法律は存在しないという理解でよいと思います。

 例えば、特許商品を売って収益を上げるモデルであれば、その商品の特許を取ればそのビジネスは守れます。製薬会社さんなら、開発した医薬品を販売して収益を上げています。新薬について特許をとれば、他社はその薬を作ることも売ることもできません。特許一件でその医薬品に関するビジネスを守ることができます。

 そんなふうにうまく法律で守れないビジネスも、実は世の中にたくさんあります。

 街中に物件を借りてテーブルと椅子を並べてコーヒーを出すビジネス。このような収益モデルを特許で守ることはできません。カウンターを並べて牛丼を食べさせるビジネスも然りです。

 『スターバックス』『吉野家』といったブランドは商標登録で守れますが、ビジネスモデル・収益モデルを守ることにはならないですね。

 でも、それぞれにビジネスの運営やサービスのあり方には、鋭敏な独自性を見せています。

 今まで日本という国は、『価値ある物』を売って収益を上げることに重きが置かれてきました。昨今、『物そのもの』よりも『仕組みの価値』で業績を伸ばす企業が増えています。このような、物から仕組みへの価値のシフトは、今後ますます加速すると思われます。

 知的財産の現場でも、「ビジネスモデルは守れません」と門前払いするのではなく、ビジネスのあり方に応じて少しでも守る方法はないかと手段を模索し、諦めずに知恵を絞っていく必要があるのではないかと思っています。

14/07/2011

住所

中央区内本町1-3/10
Osaka, Osaka
540-0026

電話番号

+81669105689

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