11/04/2017
◇賃貸アパートの空室率が過去最高に◇
“不動産投資”“相続税対策”を考えるにあたり、大変興味深い話題となっている「賃貸アパートの空室率」について、改めてご紹介させていただきます。
みなさんは、昨年の相続税の増税・その対策によってアパートが乱立し、賃貸アパートの空室率が過去最悪という事態に陥っていることをご存知でしょうか?
相続税の増税が行われたのは2015年1月。ちょうど1年前となりますが、この相続税の増税に伴い、相続財産の評価は、現金で保有しているよりも、土地・建物に換えると3割程低くなる上に、賃貸に出せばさらに2~3割下げられるとの理由から「アパートを建築すると相続税対策になる」という、節税効果を狙ったアパート建築が急増。2015年の貸家着工数は前年比4.6%増の37.8万戸に達し、2年連続で減少した持ち家の着工数28.3万戸を10万戸近くも上回る水準となりました。
通常、アパートの建築には半年ほどかかりますが、2015年1月の増税から半年経った2015年半ば頃からアパート供給過剰による、空室率が上昇。不動産調査会社タスの調べによれば、首都圏の賃貸アパートの空室率は2015年半ばから上がり始め、神奈川県に関しては35%超に達しています。千葉県、東京23区も34%前後へ上昇。3室に1室が空室というのが現状です。
こうした状況に対して、相続税対策だけに目を奪われ、賃貸経営が成り立つかどうかを精査せずにアパートを建設するのは、もはや危険行為と言えるでしょう。
また、サブリース問題も深刻化しています。空室は免れているものの、「30年間一括借り上げ」などのうたい文句に引かれてアパート経営を始め、契約賃料の引き下げを要求されて困っているという相談が急増していることも見逃せない事実です。
こうしたサブリース会社は「30年間一括借り上げ」を約束するものの、その契約賃料は2年ごとに見直すケースが多くあります。となると、空室が続けば、当然賃料引き下げを要求されます。そして、交渉がまとまらなければ契約を解除することとなりますが、そうなれば、自分で不動産仲介業者などを通じて、借り手を探してくる必要に迫られます。
相続税対策でアパート経営を始めようという人の多くは、「30年間一括借り上げ」といった保証があることによって、賃貸経営のリスクを軽視しがちになりますが、決して安心できる要因とはならないことを理解することが必要になります。
さらに、新築時は相場よりも高い賃料で成約できることが多いものの、次回入居時には年1%程度の賃料下落を覚悟しておくべきともいえます。30年間ずっと変わらない賃料保証をうたう業者もありますが、そもそも無理のあるビジネスモデルと警戒した方がいいかもしれません。
今では国民生活センターなどでも多くの相談が寄せられるほど深刻な問題となっていますし、NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられるほど、被害は拡大していることが想像できます。
賃料が年々下がっても、借金の返済を含めた収益性を確保できそうか、また、周辺物件で空室率が上昇しても、自分の物件の空室率は低く抑えられそうかについて、しっかりとしたリサーチ力がなければ、相続税対策で始めたアパート経営で、逆に大切な財産を失うことになりかねません。
くれぐれも不動産投資は“事業”であって、相続税の節税はそのオマケであると認識することが大切です。事業収支を無視したアパート経営は、必ずと言っていいほど破綻するものです。