21/12/2019
【書籍出版のお知らせ】
弊事務所の弁護士山田英男が執筆に加わった書籍「福祉的アプローチで取り組む弁護士実務 依頼者のための債務整理と生活再建」(弁護士とソーシャルワーカーの協働を考える会編)が,令和2年1月31日に,第一法規様より出版されます。
AMAZONでも取り扱いが始まりましたので,お知らせいたします。
精神障害,知的障害,発達障害,貧困,依存症等,様々な問題を抱えた福祉的支援が必要な方の債務整理をテーマに書かれた書籍は,おそらく本邦初だと思われます。
そういった債務整理事件の処理に悩まれている弁護士向けに書かれた書籍ですが,負債で苦しんでいる支援対象者と日常的に向き合う福祉関係者の皆様にも,是非お手に取っていただきたいと思います。
(出版にあたってのコメント)
「債務整理」は,日本の弁護士の歴史上,もっとも事件処理の合理化とマネタイズに成功した業務分野と言われています。
バブル崩壊に伴う自己破産事件の爆発的増加に加えて,平成15年以降のいわゆる「過払いバブル」の到来によって,債務整理事件は,弁護士ではない事務職員を最大限に活用したオートメーション的な効率重視の事件処理がされるようになりました。
その後,平成23~4年ころより狂乱の「過払いバブル」は落ち着きを見せ,破産の申立件数も下げ止まりとなりました。
私が弁護士登録をした平成21年と比較すると,普通のマチ弁が抱える債務整理事件の数・全案件中の比率は,激減しています。
しかしながら,弁護士業界の債務整理事件の処理方法は,「過払いバブル」全盛時からほとんど変化がないように感じます。
上記のような,債務整理事件のオートメーション処理は,爆発的に増えた債務整理事件を捌くための業務の効率化や経済的合理性の追求のための,もっぱら弁護士側の都合によって生まれたものであり,依頼者の利益を追求するためのものではありませんでした。
私は,債務整理事件のオートメーション的処理を全て否定的に捉えているわけではありません。
しかしながら,一つ一つの債務整理案件に向き合う余裕が生まれた現在では,「過払いバブル」時と違った事件処理方法が検討されてもよいのではないかと考えるようになりました。
そこで,数年前から,独自のアプローチで,債務整理事件(特に自己破産事件)を処理することを試みるようになりました。
債務整理事件といっても,債務を整理しただけで,その依頼者の問題が万事が解決することは極めて稀です。
その依頼者が,債務を抱えるに至った原因をしっかりと分析して,そこに手当てをしていかないと,今ある債務が消えても,早晩元どおりの状態に戻ってしまうでしょう。
たとえば,パチンコ依存症の方が,パチンコをするために負債を抱えてしまったとすると,今ある負債を整理しても,パチンコ依存症の手当てをしないと,パチンコをやめられずに,すぐにまた負債を抱えてしまいます。
そういった場合に,どうやって事件処理をしていけばよいのかを悩みつつ,トライ&エラーを繰り返しつつ,色々と積み重ねてきました(今でも,試行錯誤の最中です。)。
そうした中,「弁護士とソーシャルワーカーの協働を考える会」に参画し,アプローチの仕方に違いはあれど,同じようなことを考えて,債務整理事件に臨んでいる「同士」に出会いました。
これは,それまで孤独な作業を黙々と続けてきた私にとって,大きな喜びでした。
そして,自分が漠然と積み重ねてきたことを,言語化する大きなチャンスとなりました。
その同士達と,「債務整理とソーシャルワーク」と題したセミナーを何度か開催したところ,望外の大きな反響がありました。
そして,そのままの勢いで,この書籍の出版に至った次第です。
私が,ここ数年の間に蓄積したノウハウは,全てを惜しむことなくこの書籍の第2章に注入しました。
書き終えたときに,文字どおり「頭がカラッポ」になった気がしました。
もちろん,私の執筆部分以外も,大変充実しています。
我々,「弁護士とソーシャルワーカーの協働を考える会」は,この書籍で,弁護士のみならず隣接士業も含めた債務整理業界に,地味ながらも「革命」を起こしたいと考えています。
弁護士の皆様はもちろん,債務整理事件を扱われている司法書士の皆様,支援対象者の金銭問題に悩む福祉職の皆様,生活保護を担当される行政機関の皆様,そして,裁判所の破産係の皆様(!)にも,是非お手に取っていただきたいと思います。
長文にお付き合いいただき,ありがとうございました。
福祉的アプローチで取り組む弁護士実務―依頼者のための債務整理と生活再建―