29/07/2026
【NDAも丁寧に検討しましょう】
M&Aの検討に入るため企業情報の開示をしたり、開示を受けたりするとき、まず最初に秘密保持契約(NDA)を締結します。事業価値やスキームに目が向いており、NDAの内容をあまり確認しないままにサインをしがちです。しかし、この段階から後に紛争が起きた場合にどこで・どのように解決するかという設計の観点も重要です。
一般的な契約書の紛争解決条項では、どこかの裁判所を「専属的合意管轄」としているものが多くみられます。どちらの当事者の本拠地に近い裁判所に管轄を置くかという点に注目しがちです。
しかし、秘密情報を扱おうとするときのNDAでは、単なる定型条項では不十分な場合があります。たとえば、対象会社の技術・システム・ノウハウに関する情報が含まれる場合、破談になった後で知的財産紛争に発展することもありえます。
さらに重要なのが、紛争になった後の情報の取り扱いリスクです。民事裁判は原則公開で行われ、通常はその裁判記録を誰でも閲覧することができますから、M&Aの検討をした事実や企業価値に関わる機微情報が外部へ漏れる可能性があります。民事訴訟の手続きの中にも営業秘密保護の制度は存在するものの、完全な秘匿は保証できません。
そのため、NDAの段階で、紛争解決手段としては非公開の仲裁やADRに限定をしておくことも有益な選択肢であるといえます。
M&Aの初期段階だからこそ、情報の性質とリスクを踏まえて、紛争解決条項を戦略的に設計することが、最終的な取引の安全性を左右することがあります。