16/08/2026
最近は、司法書士においても生活保護制度について関心がある方も多いのか、同業者から相談を受けることが多いです。
ボランティア、いわゆるプロボノ活動として生活支援に関する活動をさせている方、成年後見業務をされている方、債務整理業務から生活再建への支援をされている方、アパートの明渡し事案において相手方が今後の生活展望を考えている方等といらっしゃいます。
生活保護というのは国の制度で、業務分担の関係から、法定受託事務ということで区役所、市役所に設置されている福祉事務所が担当しています。
そのことから、生活保護費の給付額は地域によって異なりますが、条件は全国一律で、法律、省令、通達、質疑応答といった資料をもとに判断されます。
よく、司法書士から区役所によって対応が違うのはなぜかということが聞かれますが、そんなことはあることはあってはならないことです。
ですが、現実的にはあります。
(もちろん、区役所、市役所のような地方自治体の業務は法定受託事務と自治事務に分かれますので、後者の自治事務については地方自治体によって対応が違うことはあります。)
それはなぜかと言えば、区役所、市役所の職員というのは、幅広い分野(「ゆりかごから墓場まで」という言葉は有名です)をジョブローテーションで担当しますので、日常的に司法書士が対応する法務局、裁判所の職員とは違い、ベテランと言われるような年齢の職員が長年広報の仕事を担当していたけど、4月から福祉の担当になったということもあり得るのです。
そうなると、配属歴の長い他の職員に聞いて仕事をするというのが常態となります。(もちろん、配属された以上は法令や判例、通達について研鑽するというのは理想ですが、そこまではできていない方も多くいます。)
その結果、代々口伝で相承されるようなことになり、誤った運用が引き継がれることとなります。
特に、水際作戦と言われるような、事実上の行政指導で生活保護の申請を妨げるような運用はこれにあたります。
行政学ではケースワーカーのような第一線で働く公務員のことを「ストリートレベルの行政職員」と言います。一般的に行政機関というのは、稟議制(いわゆる決裁)で判断をするのですが、行政分野によっては現場の判断が事実上の一義的な判断とされることとなります。
もっとも、申請をした結果、福祉事務所として正式にされた判断(行政処分)に納得できないと相談を受けた場合は審査請求、抗告訴訟ということとなりますが、(抗告訴訟の訴状の作成は司法書士が対応可能ですが)特定行政書士や弁護士への引継ぐこととなるでしょう。
特に、生活保護の給付条件に納得できない、支給額に納得できないという場合には、厚生労働省の判断基準について争うということとなりますので、抗告訴訟一択ということとなるでしょう。