行政書士梶谷法務事務所

行政書士梶谷法務事務所 平日は会社勤務、週末開業の行政書士です。世田谷区を中心に、小規模法人や個人事業者の法務業務のお手伝いをします。

28/07/2026

日本の会計基準をつくっているFASF(財務会計基準機構)は、M&Aで生じる「のれん」の定期償却ルールを維持することを決めました。
これにより、のれんを非償却とする国際会計基準や米国会計基準との違いが続くことになります。日本基準を採用する企業と国際会計基準を採用する企業との比較容易性は担保されない状況が続きますが、個人的にはのれん自体に貸借対照表能力は本質的に無いと思っているので、世界の潮流に迎合せずに正しいと思う決定をしたFASFに拍手を送りたいと思います。
大学では商学部だったので、必修科目に会計学総論とか財務諸表論などがありました。減価償却引当金(当時は、減価償却累計額とは言っていなかった)とか、借方貸方とか、全く会計用語に馴染めず、簿記や会計は大嫌いでした。何の因果かサラリーマンデビューは経理部門だったので、已む無く簿記や会計の勉強をしました。そのうちに、保守主義の原則、継続性の原則等の日本の企業会計原則が好きになりました。固定資産やのれん等は、定期償却して着実に費用化する方が、恣意性が廃除されると考えられ、好きです。時価会計とか減損とかは、業績が必要以上に乱高下する印象があり、未だに馴染めません。

12/07/2026

IT化が遅れている日本の裁判ですが、いよいよ大きくIT化に舵が切られました。

これまで、民事訴訟手続では、書類を裁判所に紙で提出する必要がありました。また、訴訟記録の閲覧のためには、裁判所に出向く必要がありました。これが5月21日からオンラインで行えるようになり、たとえば、訴状、準備書面、証拠等をオンラインで提出できるようになりました。
また、訴訟の期日においては、裁判所の判断によりweb参加が可能となりました。
オンライン提出の対象となるのは、2026年5月21日以降に提起された事件であり、それ以前に提起された事件については、従前どおり、紙での対応が基本であることに変わりありません。

私自身、勤務先の会社の業務で、何件かの民事訴訟を経験してきましたが、裁判所から郵送やFAXで書面が代理人弁護士に届き、弁護士事務所でスキャンして会社に共有する、という無駄な作業が大量に発生してきました。この辺りが、かなり効率的になると期待しています。

今般のオンライン化に先立って、数年前から弁論準備手続期日や書面準備手続き期日はweb会議が可能となりましたが、それより以前は、原告被告が裁判所に集まって、正味5分程度の訴訟進行の確認だけを行う、といった絶望的に無駄なことが行われていました。
集まった挙句に、相手方が裁判所からの宿題にきちんと対応しないと、期日が1回無駄になり、また、1か月半先になってしまう、なんてことも珍しくありませんでした。

今回の改正により、生産性が低いと言わざるを得ない、日本の裁判が、改善されて行けばよい、と思います。
副次的な話として、取引先と契約書を締結する際に、裁判所の専属的合意管轄が議論になりますが、出頭しなくてよいとすれば、従前ほどは拘る必要がなくなるかも知れません。

07/06/2026

ローマ字に関するルールが2025年12月22日の内閣告示で実施され、1954年以来約70年振りのルール変更となりました。従前の訓令式(母音と子音を規則的に配置)から、世の中で広く使われているヘボン式(英語の発音に近い表記)に変える、というものです。小学校で教えるローマ字は従来訓令式でしたが、2026年度の教育現場から順次ヘボン式に切り替わっていきます。

訓令式⇒ヘボン式の違いの代表例は次の通りです。
シ: si ⇒ shi  チ: ti ⇒ chi  ツ: tu ⇒ tsu  フ: hu ⇒ fu  ジ: zi ⇒ ji  シャ: sya ⇒ sha  チャ: tya ⇒ cha
こうして見ると、訓令式の表記は、日常生活において見かけることはほとんど無いように思われます。

今回の告示では、長音について、符号をつけて表す書き方に加えて、母音時を重ねる書き方が示されました。
例) かあさん:kāsan または kaasan  
   東北:Tōhoku または Touhoku
なお、Tokyoやjudoといった、定着した表記は今後も許容されるようです。

今回の変更により、学校で習うローマ字(訓令式)と街中やパスポートで使うローマ字が違うという長年の矛盾が解消されます。ただ、そもそも、何でもっと前にやらなかったのでしょうかね。
今般の変更は、世の中に影響を与えている感じは全くせず、(学校教育は別として)何も変わっていないような気がします。

新橋をshinbashiではなく、shimbashiと表記するのが長年謎だったのですが、B、M、Pの前の「ん」はNではなくMを用いるのがヘボン式のルールなんですね。今回調べて初めて知りました。

06/05/2026

道路交通法の改正により、自転車の違反に対する取り締まりが大きく変わりました。以前は、自転車の違反は「厳重注意」か、刑事罰の対象となる「赤切符」のどちらかでしたが、今年4月1日から、自動車と同様に行政罰の「青色切符(反則金制度)」が導入されました。

<自転車の青切符のポイント>
〇対象者: 16歳以上
〇内容: 信号無視、一時不停止、スマホを見ながらの「ながら運転」、右側通行(逆走)など、113種類の違反が対象
〇反則金: 違反の内容により、5,000円〜12,000円程度の支払いが命じられる。
〇結果: 反則金を納付すれば刑事罰(前科)はつかないが、納付しない場合は赤切符(刑事手続き)に移行します。

「歩道走行違反」は要注意だと思います。自転車は、本来、車道走行が原則であり、子どもや高齢者など一定の条件を満たす場合を除き、「自転車通行可」の標識・標示がない歩道を走るのは違反です。また、歩道でスピードを出し、歩行者の通行を妨げるのも違反になります。歩道走行違反の反則金は6,000円です。
法改正後1か月余りが経過しましたが、都内の環状七号線や環状八号線といった片側2~3車線あるような幹線道路において、車道を走る自転車が増えたような気がします。車を運転していると、危ないと感じますが、正しい行為なので仕方ありません。

<改正の背景>
近年、自転車が関わる事故が増加しており、マナーの向上が急務となっていたためです。以前は「注意」で済んでいたケースでも、今後はその場で切符を切られ、反則金を支払う義務が生じます。
「これくらいなら大丈夫」という油断が、思わぬ出費や事故につながります。この投稿を読んだ人には、自分と周囲の安全を守るために交通ルールの徹底をお願いしたいと思います。

なお、青切符は軽微な違反に対する措置であり、飲酒運転や酒気帯び運転は赤切符(刑事罰)の対象です。「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」という、自動車の飲酒運転を戒める標語は、1966年につくられましたが、このフレーズは自転車にも当てはまります。

12/04/2026

この2026年4月1日施行の民法改正により、離婚後の父母のあり方が大きく変わることになりました。それが共同親権の導入です。現行の親権制度が定められた1948年以降、抜本的な見直しは今回が初めてです。

改正前は、離婚後は父母のどちらか一方を親権者と定める「単独親権制」となっていました。これに対し改正法では、父母の協議により「共同親権」を選択することが可能になりました。G7の国で、日本だけが共同親権を採用していませんでしたが、離婚後も「親子の断絶」を防ぎ父母双方が養育責任を負うべきであるという国際的な潮流に沿うことになりました。
共同親権下では、教育方針や居住地の決定、重大な医療行為といった「居所指定」や「身分上の行為」については原則として父母の合意が必要となります。一方で、日々の食事や習い事といった「日常の身の回りに関する事項」や、急病などの「急迫の事情」がある場合は、単独での行使が認められます。
今回の改正の理念は「子の利益」の最大化です。そのため、DVや虐待の恐れがある場合には、裁判所が必ず単独親権を命じる仕組みが整えられました。

また、養育費の取り決めがなくても、同居親が別居親に月額最低2万円を請求できる「法定養育費」の制度もスタートしました。法定養育費は、養育費の合意が成立するまでの暫定措置であり、子どもの最低限の生活費を確保するのが目的です。
養育費の不払いがあった場合に、同居親が、子ども1人当たり月8万円を上限として、別居親の財産から他の債権者よりも優先的に回収できる「先取特権」も規定されました。
養育費の支払いは民法上の義務ですが、実際に受給している割合は、母子世帯でも28%程度にとどまるようです。養育費を取り決めても、無視して払わない父親や、当初は払っていても自身の再婚等をきっかけに払わなくなる父親が少なくないのが現実です。

共同親権も法定養育費も、施行日以降の離婚が対象となります。

29/03/2026

2026年3月27日、最高裁判所は、自治体の要請によりヒグマ駆除で発砲したハンターの銃所持許可を取り消した行政の処分を「違法」と判断しました。ハンターを敗訴とした二審の札幌高裁の判決を破棄したものであり、ハンター側の逆転勝訴が確定しました。

2018年、北海道砂川市のベテランハンターは、市の要請を受け、警察官立ち会いのもとでヒグマを射殺しました。しかし翌年、公安委員会は「建物に弾が届く恐れがある場所で撃った」として、当該ハンターの銃の所持許可を取り消しました。ハンターは「安全を確認して撃った。これでは怖くて誰も駆除できなくなる」と提訴しました。

最高裁は、以下の理由から行政の処分を「行き過ぎ(裁量権の逸脱)」と結論付けました。
①高い公共性: 住民の命を守るための正当な要請に基づく活動であったこと。
②処分の不当な重さ: 現場の状況を無視して、最も重い「許可取り消し」を下すのは、社会通念に照らして妥当性を欠くこと。
③萎縮効果の懸念: このような厳しい処分を認めれば、今後ハンターが駆除を引き受けなくなり、地域の安全が脅かされる恐れがあること。

報道から推察する事実を元に考える限り、リーズナブルな判決だと思います。
ヒグマ駆除における発砲において、仮にルールに抵触する行為があったのだとしても、自治体の要請で、公的な使命で対応した行為に対して、重すぎる処分はバランスを失すると言わざるを得ません。
「ルールは大切だが、公共のために尽力した現場の判断を、後から過度に責めてはいけない」という司法の姿勢が示されました。全国の自治体やハンターにとって、今後の鳥獣被害対策に光を当てる重要な判決となりました。

28/02/2026

行政書士法が改正され、今年の1月1日から施行されました。
一般の人には、あまり影響のない法律の改正ですが、ポイントとしては次の通りです。

1) 行政書士の使命
第1条が「目的」から「使命」に変更。使命は、国民の権利利益の実現に資すること。「国民の利便に資する」という言葉には、複雑化する行政手続きにおいて、国民の権利を守り、スムーズに手続きが進むようサポートする役割が込められています。単なる手続きの代理人ではなく、「日本の行政システムを正しく、かつ国民にとって使いやすく維持するための重要な担い手である」と国が認めた、という認識の下、行政書士会としては、非常に大きな改正と捉えているようです。

2) 無資格者の排除
行政書士以外は、報酬を得て行政書士の独占業務(官公署に提出する書類を作成すること)を行うことはできないとされ、罰則が整理・明確化されました。かねて、非行政書士排除ステッカーの掲示を警察署や市町村役場に働きかけるなどしてきた、行政書士会の動きを後押しする改正だと言えます。

3) 特定行政書士の業務範囲の拡大
不服申立ての手続に関する業務範囲について、行政書士が「作成した」官公署に提出する書類に係る許認可等に関するものから、行政書士が「作成することができる」官公署に提出する書類に係る許認可等に関するものに拡大されました。これにより、申請者自ら手続きをした書類に関する不服申し立て手続きに、行政書士が関与できることになりました。

4) デジタル化への対応
行政手続きの完全オンライン化を見据え、電子署名やデータでのやり取りがよりスムーズに行えるような環境整備が進められます。これにより、手続きのスピードが向上していくことが期待されます。

住所

代沢1丁目
Setagaya-ku, Tokyo
1550032

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