27/12/2020
平成28年熊本地震により開始された「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が、令和2年12月1日から、新型コロナの影響を受けた債務者にも適用されることになりました。
この制度の概要は、新型コロナの影響で、基準日である2020年2月1日以前と比べて、収入や売上が減少し、同日以前から負担していた債務の返済が困難になるなど、所定の要件を満たした個人の債務者(個人事業主を含む)が、金融機関等の債権者と協議をし、すべての債権者の同意を得て、債務の減額、免除を受けるというものです。
この制度による債務整理を開始するには、まず最も多額の貸付金を有する金融機関に申し出て、その同意を得る必要があり、その同意を得たら、各地の弁護士会を通じて、制度運営機関から登録支援専門家弁護士の紹介を受けることになります。なお、登録支援専門家弁護士の支援は無料です。
その後、すべての債権者に対して債務整理を申し出て、登録支援専門家弁護士の支援を受けながら、債務の返済計画を含む調停条項案を作成して債権者に提出し、債権者の同意を得て、最後に簡易裁判所に特定調停の申立を行います。
特定調停により、調停条項が確定すれば、債務整理が完了することになります。この手続の期間中は、債権者は債権の回収をすることができなくなり、債務者は原則として資産の処分や新たな債務の負担ができなくなります。調停条項案は、破産との比較などから債権者にとっても経済合理性を有するものでなければなりませんが、住宅を手放さずに生活や事業の再建ができるようにする住宅資金特別条項を設けることもできます。
この制度と破産や小規模個人再生のような法的倒産手続との違いは、まず、対象となる債権者は原則として金融機関だけで、取引先は対象とされませんので、事業の棄損を防ぐことができます。また、この制度による債務整理を行っても、信用情報(いわゆる「ブラックリスト」)に登録されません。保証人がいても、原則として保証債務の履行は求められません。
平成28年4月の運用開始から令和2年9月までのこの制度の利用実績(債務整理成立件数)は全国で520件にとどまりますが、新型コロナの影響は全国規模でかつ長期化が予想されますので、今後、利用の拡大が予想されます。
新型コロナの影響により収入が減少してお困りの方がおられましたら、弁護士法人九十九里にご相談ください。